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「青いカラビナ」
"Carabiner in blue" という番組名を最初に聞いたとき、響きの良い言葉だと思いました。しかし、僕はその意味がわからなかったのです。あとで調べてみて、"カラビナ"とは登山でロープなどを繋ぐ金属製のリングだということがわかりました。
パーソナリティの徳重さんはこの日、ご病気で退院されたばかりとのことで、インタビューにはお見えになることは出来ませんでしたが、今回、初来日をしたギタリスト、ファビオ・ザノンと僕、そして徳重さんを始めとするスタッフの方々、ラジオをお聴きの皆さまとも、この"青いカラビナ"でしっかり繋げていただくことが出来ました。
また、ザノン氏へのインタビューでは、僕にとっても啓示となるいくつもの言葉をインタビュアーの坂根さんが引き出してくださり、大変実りの多い時間を得られました。
以下は当日のコンサートについての感想を求められ、短く纏めたものです。
「聴き入ってしまう演奏というのがあります。ファビオ・ザノンの出す最初の一音を聴いた時に、これはその強力な力を持った演奏家だと即座に思いました。
積み重ねてきた広大なバックボーンを元に、虚飾無く正直に音楽にあたる姿勢、そして演奏が始まれば自分を無にして全てを受け入れる不動の精神、それは圧倒的な説得力を持って私たちに、芸術の深みを垣間見せてくれます。
ファビオ・ザノンの名前は世界に響き渡っていたので、僕も彼のDVDやCDを聴いて感銘を受けていましたが、生演奏に触れて、想像の遥か上を行く芸術性に心底驚嘆し歓喜しました。
最近良く耳にする話題に、AIの技術的特異点の脅威についての議論がありますが、完全過ぎる、1つの隙もない存在からは、芸術が生まれることはないだろうと、自分の身ひとつで練り上げてきた、技と知識をその場その場で再構成し表現していく、そんな真の熟練に達した彼の音楽に触れて、思いを確かにした夜でした」。
今回この機会を設けてくださった、先崎高弘さんとラジオで取り上げてくださった徳重英子さん、そしてインタビュアーの坂根龍我さん他、ご尽力いただいたスタッフの方々にも、心より感謝申し上げます。
樋浦 靖晃
イーストエンド国際ギターフェスティバル代表
ギタリスト:エコールノルマル音楽院卒